感想:改訂新版 IoTエンジニア養成読本 (Software Design plusシリーズ)

IoTと縁がなかった開発者向けの網羅的な一冊

本書は、技術評論社の養成読本シリーズの一つであり、IoT(Internet of Things)システム構成を網羅的に説明しています。本書の構成は、IoTの全レイヤー(下記の引用参照)における代表的なハードや技術について広く述べた後に、Raspberry Pi/Slack/3G接続用モジュールを用いた小規模なシステム(トイレ個室の空き情報を通知するシステム)のハンズオンを紹介する流れとなっています。養成読本の中で最も読了感が良く、初心者から中級者のステップアップに役立ちそうと感じられました。

デバイス:センサ/アクチュエータ/デバイス選定ガイド

ネットワーク:BLE/Zigbee/セルラー通信/LPWA

クラウド:バックエンドの設計運用

アプリケーション:設計時のポイントと実際のデータ処理

セキュリティ:対策/防御/デバイス保護のアプローチ

本書の表紙より引用

本書の対象読者は、今まで体系だってIoTを学習した事がない人でしょう。そのような方は、本書のPart1を読み、IoTの基本的な構成である「センサデバイス <−> クラウド(ディズパッチ、プロセッシング、ストアリング) <−> アプリケーション(モニタリング、制御、自動化、最適化、自律性)」を俯瞰した後、興味のあるレイヤー(Part2以降)の情報を抑えるだけでも勉強になります。逆に、特定のレイヤーを深堀したい人にとって、本書はやや物足りないかもしれません。

本書は2019年に改訂新版となったため、最近のIoTビジネスアプリケーション例や大規模なセキュリティインシデント例も記載されています。アプリ例で近未来を感じたのは、「市内全域をカバーするWiFiに接続されたスマートパーキングメーターにより、駐車可能スペースの空き状態をリアルタイムで提供」でしょうか。社会インフラにIoTを組み込むのは、多くの人の利便性を向上させる取り組みなので、日本でも類似サービスをドンドン投入して、便利な世の中に変わって欲しいと感じました。  

                  

本書の優れた点

本書の優れた点は、デバイスや技術を導入する上での選定ポイントを明記している事でしょう。例えば、ネットワークであれば、

  • 通信範囲
  • データ量
  • 通信頻度
  • 消費電力
  • モビリティの有無(定点か移動か)
  • IPの有無
  • 通信方向(双方向、片方向)
  • 通信量

といった選定ポイントを示しています。

技術選定時によくある事ですが、選定ポイントが定まっていないと、調査項目が散漫になります。しかし、選定ポイントが分かっていれば、「上記の選定ポイント」と「選定対象となる技術の仕様」のメトリクスを作成するだけでも、良い資料が作成できます。

選定ポイントだけでなく、ユースケースや実装例、代替案の提示などがしっかりと記載されている点も好感が持てました。経験に基づく実践向きな考えが読み取れる書籍は希少なので、そのような情報も知りたい方には本書はオススメです。

                    

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