Review: Memories in Rock(Rainbow)
収録曲
01. 威風堂々(オープニング)
02.Over the Rainbow
03.Highway Star
04.Spotlight Kid
05.Mistreated
06.16th Century Greensleeves
07.Since You Been Gone
08.Man On The Silver Mountain
09.Catch The Rainbow
10.Difficult To Cure (Beethoven’s Ninth)
11.Perfect Strangers
12.Stargazer
13.Long Live Rock ‘N’ Roll
14.Child In Time / Woman From Tokyo
15.Black Night
16.Smoke On The Water
17.Spotlight Kid (Bonus Tracks)
18.Man On The Silver Mountain (Bonus Tracks)
19.Long Live Rock ‘N’ Roll (Bonus Tracks)
20.Stargazer (Bonus Tracks)
21.Since You Been Gone (日本版限定Bonus Tracks)
22.Catch The Rainbow (日本版限定Bonus Tracks)
Ritchie Blackmoreが19年振りにHRに回帰!
本作品は、Ritchie Blackmoreが19年振りにHRの世界に戻ってきた記念すべき作品です。1997年にメインの活動をBLACKMORE’S NIGHTにシフトして以来、ファンはRitchi Blackmoreが再びロックをプレイする事を心待ちにしていました。
Rainbowが復活した理由ですが、以下のインタビューを読む限りは、「Ritchie Blackmoreの年齢(2019年時点で74歳)」と「周囲の変化(知人の死)」をキッカケに、過去を懐かしむ気持ちになったのではないでしょうか。
70才という年齢になり、John lord(Deep Purpleメンバ)をはじめ、共にプレイをした多くのミュージシャンが亡くなってしまった。旧友を懐かしむ思いで昔の曲をプレイしたくなった。
ノスタルジーが主な理由だが、それだけが理由ではない。
Ritchie Blackmore
引用文中の「ノスタルジーが主な理由だが、それだけが理由ではない」という発言ですが、自身の健康面も意識した発言と思われます。近年、Ritchie Blackmoreは、ギタープレイに影響が出始める程の持病を抱えています。例えば、関節炎であったり、指の関節に尿酸が蓄積して手術を受けていたりと、ファンを心配させるニュースが増えています。
しかし、HRの世界に戻ってからは、精力的にLive活動を行い、新曲もリリースしています。特に、新曲のリリースは、ファンにとって嬉しいものです。可能であればアルバムも作成して欲しいですが、2019年現在は以下の新曲で我慢するしかありません。Black Sheep Of The Familyから、演奏のメリハリが復活したので、まだまだ新曲を書いていただきたい。
Ronnie Romero(Vo.)の抜擢とその確かな実力
Ritchie BlackmoreがHR復活Liveを実施する前(Ronnie Romeroの存在が告知される前)、Joe Lynn Turnerが参加する噂が流れていました。この噂の出処は、Joe Lynn Turner本人です。「自分を含むラインナップでRainbowが再結成する計画がある」と本人が発言したため、この噂が広がったようです。しかし、早い段階でRitchie Blackmoreに「(Joe Lynn Turnerの発言には)真実も含まれているが、混乱している部分もある」と否定されていました。
実際の所、Joe Lynn Turnerの発言は、根拠のない妄言ではありません。マネージメントレベルでは、Rainbowのリユニオンが計画されていて、Rainbowの過去メンバー(Joe Lynn Turner, Graham Bonnet, Doogie White)で過去の楽曲を再現する計画がありました(参考)。そのため、2014〜2015年に、Joe Lynn Turner自身を含むRainbowの復活を匂わしていたようです。
最終的には、Ritchie Blackmoreが無名だったRonnie Romeroを抜擢した事を告知し、Joe Lynn Turnerが参加するという噂は完全に収束しました。この告知で驚きだった点は、新ボーカリストが「Ronnie James DioとFreddie Mercuryを兼ね備えている」と評されていた事です。続報で新ボーカリスト名が判明するやいなや、多くのファンはJoe Lynn TurnerをSNS上で話題に出す事を止めました。代わりに、Ronnie RomeroによるDeep Purpleのカバー(Stormbringer)やRainbowのカバー(Kill the kingなど)をYouTubeから発掘し、その確かな実力がファンの間に広まったと記憶しています(参考)。
私自身は、Rainbow In The Dark(以下の動画)を聞いて、「当たりだ!」と喜んだ記憶があります。往年のファン(日本人)は、Ian GillanやDavid Coverdale、DIOと比較して、辛口気味な評価でした。しかし、過去にRitchieと関わったボーカリストが、Deep PurpleとRainbowの楽曲を再結成時点(2016年)で歌いこなせるとは思えず、その点ではRonnie Romeroの起用は正解でした。
肝心の復活Liveは精細を欠いていた
Live映像は、ファンの密録(海外なら撮影OK)がYouTubeに公開されていました。その段階で、演奏が精彩を欠き、グダっていた事が明らかになりました。私は過度な期待をせずに本作品を視聴しましたが、以下の3点はショックを受けました。
- 遅い演奏
- Ritchie Blackmoreの簡易的なギタープレイ(今まで以上に簡素)
- リズム隊の演奏に緊張感(メリハリ)が皆無
Live映像を見始めたばかりの段階では、
- 「Over the Rainbowの後、Highway Starなのは、なんか違う」
- 「”Nobady gonna take my car”を早めに歌うのいいね〜」
と、小さい事を楽しむ余裕がありました。しかし、Spotlight Kidの締めを聞いた段階で、「演奏面は期待できない」と悟りました。例えば、Spotlight Kidは弾き始めの遅さから不穏な空気がありましたが、ドラムの緊張感の無さが致命的で、締めのフレーズ(Kill the Kingアウトロの引用)もヘロヘロでした。
復活Liveを支えていたのは、「新加入のRonnie Romero」と「キーボーディストのJens Johansson」でした。この点に関しては、多くの方が賛同すると思います。実際、Ronnie Romeroは貢献度が高く、彼自身もRainbowの一ファンである事が歌唱から滲み出ており、彼のボーカル(声量)が演奏全体を下支えていました。さらに、その声質のおかげで”Man On The Silver Mountain”や”Stargazer”がセットリストに組み込まれましたし、Ritchie Blackmoreがステージ上で「”soldier of fortune”の歌詞を知っているか」と尋ねてきて、彼が歌詞を覚えていたからセットリストに組み込まれた事実も見過ごせません(本作品には、未収録ですが)。
好きな一曲
Catch The Rainbow
バラード系は、比較的安定して聴けます。
ロシア人と国際結婚した地方エンジニア。
小学〜大学院、就職の全てが新潟。
大学の専攻は福祉工学だったのに、エンジニアとして就職。新卒入社した会社ではOS開発や半導体露光装置ソフトを開発。現在はサーバーサイドエンジニアとして修行中。HR/HM(メタル)とロシア妻が好き。サイトに関するお問い合わせやTwitterフォローは、お気軽にどうぞ。