環境構築:Terminal(CLI)向けメーラー”Neomutt”でGmailを送受信するための設定

前書き

Neomuttは、Command Line Interface(CLI)で使用するメールクライアントです。mutt(1995年に登場したメーラー)をforkしたプロジェクトであり、その上位互換となっています。CLI環境でメールを読む理由は、動作が快適な事省メモリである事が挙げられます。

GUI環境のメーラーは、Microsoft Outlook、Thunderbird、Gmailなどがありますが、多機能ゆえに動作が重いです。CLIメーラーは、設定の煩雑さが欠点として残りますが、速度の面では優位に立っています。そのため、大量のメールを読む場合、人によってはCLIの方が便利です。

本記事では、NeomuttでGmailを送受信するための環境構築手順を示します。実施する内容は、以下の通りです。

実施内容
  • Gmailアプリパスワードの取得
  • neomuttおよび関連パッケージの取得
  • GmailアプリパスワードをGPGで暗号化
  • Gmailの送受信設定
  • メールセキュリティ設定
  • メーラー基本設定
  • キャッシュ設定
  • キーバインディング設定

                

検証環境

                    

Gmailアプリパスワードの取得

前提として、Gmailのメールアドレスとパスワードを取得している状態とします。NeomuttがGmailサーバからメールを取得する際、普段使用するパスワードではなく、Neomutt用パスワードが必要になります。

そのため、Neomutt用パスワードをGoogleから取得する手順を示します。まずは、Googleのアプリ設定ページ(外部)に移動し、ログインします。ログイン後、アプリパスワードの画面(下画像)が出てきます。

「アプリパスワードを生成するアプリとデバイスを選択して下さい」という文章の下にあるプルダウンを選択します。「アプリを選択」というプルダウンでは、メールを選択します。

「デバイスを選択」というプルダウンでは、環境に合わせて選択して下さい。私の環境は、Debianなので、その他を選択しました。

「生成」ボタンを押した後、以下のようにパスワード(下画像の黄色部)が生成されます。このパスワードは一度しか表示できないため、どこかにメモしておいて下さい。なお、私は画像中のパスワードは使用していないため、セキュリティ的な問題はありません。

                        

                                                     

Neomuttおよび関連パッケージの取得

NeomuttをDebian9環境にインストールするには、

  • 開発元のGitHubからソースコードを取得し、ビルド
  • Debian10(testing)環境のリポジトリからaptコマンドで取得

の2通りがあります。

ソースコードからのビルドは、やや労力が必要な作業です。Neomuttは、ビルド時依存パッケージが多いです。依存を満たすには、Debian公式サイトの依存情報を見ながら、事前にパッケージを多数インストールしなければいけません。

Debian10(testing)環境リポジトリを使用する方法は、ソースビルドより簡単です。aptコマンドで環境構築できるため、本記事ではこちらの方法を採用します。

まず、以下の記事に従い、testingパッケージをインストールできる状態にします。その後は、aptコマンドで「Neomutt」、「HTMLメールを読むためのw3mパッケージ」、「パスワードを暗号化するためのgnupg」をインストールします。

Debian: 任意のtesting/unstableパッケージのみをinstallする方法(システム全体はstableを維持)

                                                   

GmailアプリパスワードをGPGで暗号化

Neomuttの各種設定は、neomuttrcファイルに記載します。この設定には、Gmailアプリパスワードを記載する事も含まれますが、平文でパスワードを残す事はセキュリティにリスクがあります。そのため、パスワードを暗号化します。

まずは、平文でパスワードをpasswdsファイル(ファイル名自由)に記載します。

GPGで、passwdsファイルを暗号化する前準備として、GPGキーペアを作成します。以下の手順でGPGキーペアを作成する際に、「パスワード(自由)」、「エントロピーの取得(キーボードをタイプ、マウスを動かす、ディスクを動かす)」を要求されます。なお、エントロピーは、偏りのない乱数を生成するために必要な情報です。

GPGキー作成中に表示されるユーザIDは、後ほど使用するため、メモしておいて下さい。

最後に、GPGでpasswdsファイルを暗号化し、平文ファイルは削除します。

                              

                                  

Gmailの送受信設定

Gmailの送受信設定をneomuttrcファイル(Neomuttの設定ファイル)に記載します。記載する内容は、ユーザの本名やGmailアドレスによって変わるため、注意が必要です。

                                  

メールセキュリティ設定

メールセキュリティ設定を”~/.config/neomutt/neomuttrc”に記載します。ここでのセキュリティ設定は、以下の2点です。

  • 送信メールサーバから受信メールサーバまで通信を暗号化(SSL/TLS暗号化)
  • SSLの次世代規格TLSで、サーバ・クライアント間で通信を暗号化

                         

メーラー基本設定

Neomuttのメーラーとしての基本設定を”~/.config/neomutt/neomuttrc”に記載します。「CA証明書(SSLサーバの証明書)を格納するディレクトリ」や「HTMLメールを読むための設定ファイル」は自動生成されないため、事前に作成しておきます。

                

キャッシュ設定

Neomuttの起動を早めるために、各メールに対するキャッシュ設定を”~/.config/neomutt/neomuttrc”に記載します。キャッシュを格納するディレクトリは、自動生成されないため、予め作成しておきます。

                                                                       

キーバインディング設定

キーバインディング設定は、ユーザの好みの範疇のため、設定しなくても良いです。

私は、以下のみ”~/.config/neomutt/neomuttrc”に設定しました。

                   

最後に

ここまでの設定によって、Gmailの送受信ができるようになってます。より細かい設定は、Neomutt公式サイトのリファレンスを確認して下さい。

                            

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